怪獣の部屋

8.モスラ編

1961(怪獣映画初全世界同時公開)

1970/12/19公開時半裁ポスター

1964/4/29公開時半裁ポスター

 1961年公開”モスラ”は東宝怪獣映画の中でも3本の指に入る傑作だと僕は思ってる。けどこれは当然といえば当然の結果であるともいえる。というのは、このころ東宝は特撮路線の好調の結果、作品ごとに制作費がアップしている状況で、このモスラなんか、なんと怪獣映画初の全世界同時公開作品ということだったらしいです。金かけてる分特撮も凄いよ。まずミニチュアの縮尺がデカイ。(モスラの縮尺は出演映画の制作費に比例してこの後次第に小さくなります。)壊す街も半端じゃない。そしてなんと言っても東京タワー。やっぱこれを壊さないとね。最近では”ガメラ 大怪獣空中決戦”でギャオスが壊してたけど、東京タワーを壊してこそ一流怪獣映画といえます。しかし僕が”モスラ”を好きな理由はもうひとつ別のところにあるんだ。
 ミュージカルは、好き嫌いがはっきり分かれるジャンルですよね。けど、嫌いって人もよく聞くと、実は観たこと無かったりするんだよね。一度観てみるときっとハマります。とくにMGMの豪華絢爛たるミュージカル全盛の頃の作品「踊る大紐育」、「バンドワゴン」、「リリー」、「錨をあげて」、「イースターパレード」などなど。僕は大学生のころ博多のミニシアターでこんなのを観まくってたんだ。いいですよミュージカル。歌い踊るフレッド・アステアと美女たち、そして絶対に不幸な人の発生しないハッピーエンド。まあ観てる2時間だけは誰もが幸せな気持ちになれます。

 ”東宝は日本のMGMである”、と思うのは僕だけでしょうか。クレイジーキャッツや若大将シリーズなんか最高っすよ。そしてこの”モスラ”。歌い踊るザ・ピーナッツと幻想的な怪獣のお話。東宝の絶好調の雰囲気が伝わってくるじゃあないですか。

 僕も最初からモスラが好きなわけじゃあなかった、というか相手にしてなかったね。ラドンもそうだけど、ゴジラの脇役くらいにしか考えてなかったんだ。ところが「モスラ対ゴジラ」を観てびっくり仰天。なんとゴジラが負けるじゃないですか。後にも先にもゴジラに勝ったのはこいつだけです。

 最近はピンで復活も果たすし、やっぱり大物ですね。

 ザ・ピーナッツの歌も昔はちょっと恥ずかしかったけど、今聞くとこれがまたいいんだ。最近僕はキングレコードから出てるCD”決定版モスラ”を買ってしまった。これは一家に1枚絶対に置いとくべきです。ちなみに僕の好きなのは「モスラ対ゴジラ」のなかの”聖なる泉”と「地球最大の決戦」の”幸せを呼ぼう”です。聞くべし!

(2000/1)