怪獣の部屋
31.実在の怪獣編5
目撃者の名誉のために言っておくが、これらのイラストは、受けをねらっているのでは・・断じてない!(と思う)。せっかくツチノコを目撃したにもかかわらず、それを写真に残すことができなかった悔しさが、これらの傑作を生み出したのである。 |
僕が結構オカルト系が好きなので、酒の席などで、よくネッシーの話なんかをすることがある。するとオカルト系を毛嫌いする人からこんな風に言われることがある。「じゃあ○○さんてUFOなんかも信じてる?」ちょっと待てよ・・。この質問は何か間違ってないか? UFOとは、そもそも”Unidentified Flying Object”の略で、日本語訳は”未確認飛行物体”である。つまり、UFO=宇宙人の乗り物と確認された時点で、それはUFOとは呼べなくなるんだ。これは、信じるもクソもない定義の問題だ。しかしそのあたりの説明をしだすと、泥沼にはまる可能性があるので、やめといたほうが利口だ。この人は、UFO=宇宙人の乗り物、と思い込んでいるうえに、その真意は別のところにあるからだ。つまりこの人はこう言いたいに違いない。「あなた、いい歳してそんなもの信じてるなんてバカじゃないの・・」 そこでひとつ誤解の無いように言っておくが、「信じる」というのと、「好き」というのは微妙に違う。僕は、ネッシーをはじめとする未確認生物たちが「好き」なんだ。そう、洒落やインチキをも含めてね。 |
新潟県小千谷市の渡辺政雄氏所蔵のツチノコの骨。かつては頭骨も揃った完全なものであったという。 | 鳥取県頓原町で発見されたツチノコの骨では?といわれてるもの。写真鑑定ではイタチ科の「ホンドテン」という結果だったが・・? | 恐怖のヤマヒル!強烈な吸血の吸盤を持ち、伸びれば60センチにもおよぶものがいるという。 |
怪しい生物や怪獣、超古代文明なんかについて多少興味のある方なら、「大陸書房」という出版社をご存知かもしれない。10年ほど前に倒産したので、今ではもう古本屋でしかお目に掛かることができないが、昭和40年代頃の同社のラインナップを見れば、その筋の方なら踊り上がって喜ぶはずだ。「失われた大陸シリーズ」「オカルト・四次元シリーズ」「動物・怪獣シリーズ」「奇談シリーズ」なんてのが目白押しで、思わず顔がニヤけてしまいます。最近のUMA本のような派手さはないけど、ジワっとくる怖さが結構いい感じ。今回は、その中の一冊「動物の四次元」の中から、ゾクっとする話をひとつご紹介しておきましょう。 吉野杉で有名な関西の秘境”奥吉野”は、野生動物の宝庫である。戦前は、狩猟を生活の糧とする猟師たちの仕事場でもあった。第二次大戦の勃発する前年、日米間の雲行きが怪しくなってきた昭和15年の初秋、山里近くで怪獣が現れたという騒ぎが起こった。「全身黒のまだら模様の分厚い毛に覆われ、仁王立ちの巨大な姿は一間半(約2.7m)もあった。しかもそいつはどこが頭か脚かも見境のつかない化け物やった・・」「木立の隙間からうごめく巨大な妖怪のようなものだった・・」「山の精のおふれだ」こんな噂で村人は山仕事が手につかなくなり、女子供は家に閉じこもったままになっていた。そんな中、村の猟師のひとり神坂老人が、怪獣退治に立ち上がった。氏は目撃者の情報を元に、愛犬の紀州犬”那智丸”と共に山に分け入ったのである。 目撃証言の場所には、確かに巨大な”何か”の痕跡があった。那智丸はその匂いを嗅ぐと早速追跡を開始する。神坂氏は目撃者に「大鹿、猪、いや大熊の見間違えでは・・?」と聞いてみたが、彼らは口をそろえて違うと言い張っている。彼の長い狩猟経験での一番の大物は、5尺9寸(約1.8m)ほどの大鹿であったが、はたしてこの奥吉野に2mを超える動物が存在するだろうか。恐怖感で麻痺した精神状態で、実際よりも大きく錯覚したのかもしれない。山に入って一週間が過ぎたが、求める怪獣は現れなかった。8日目も手応えがなく、日も暮れ始め、そろそろ山を下りようとしたそのときであった。突然那智丸が低い唸りを発し、今までに見せたことのない身構えをしたのである。神坂氏に緊張が走る。前方の茂みが、かすかに動いていた。 |
岩手県花巻市雄山寺に伝わる「雷神」といわれる生物のミイラ。? | 石川県金沢市の善行寺に伝わる三面鬼。こっちが表で・・ | 後ろにもほら、こんな顔がついてるよ。すげこわ〜。 |
黒い物体がぬうっと立ち上がり、月明かりにその姿が浮かびあがった。その巨体は確かに一間半もあろうか、それは紛れもなく見たこともない”月の輪熊”の大物であった。村人たちが恐れ戦いた怪獣の正体はこの大熊であったのか?大熊は老人と犬に向かって一気に襲いかかってきた。神坂氏は落ち着いて頭の急所に狙いを定め、続けざまに弾を撃ち込んだ。氏の弾は見事に頭部を貫通し、巨体はどっと血を吹いて茂みに倒れる。だが倒れても油断はできない。しばらく様子を見て、動く気配がないのを確かめてから、氏は那智丸に命じた。「行け!」那智丸は嬉しそうに飛び上がって死骸のもとに走っていった。しかし、那智丸は何かに驚いたのか、茂みの中の死骸を見るなり、悲鳴のような声をたてて後ろへ跳び下がり、決して近づかなくなってしまった。何か忽然と異変が起こったのだ。 「戻れ!」異変を察した神坂氏はすぐに那智丸に命じた。恐る恐る大熊の死骸に近づいた氏がそこで見たものは・・、それはこの世のものとも思えない光景であった。死骸にうじゃうじゃと群がる巨大なナマコのようなもの・・それは一尺もあるヤマヒルの大群だったのである。ヤマヒルは氏の足元をすり抜けて続々と這い寄ってくる。氏の眼前で大熊の体内の血は刻一刻ポンプのように吸い上げられてゆき、その巨体はたちまちのうちに嵩(かさ)低くしょげてしまった。やがてぶくぶくに膨れ上がった巨大なヤマヒルは、大熊の死骸から次々とずり落ちて、化け物の集団となった。ここで神坂氏は、はっと我に帰る。その化け物たちが、今度は老人と那智丸の方へ向かって這い寄ってきたからである。氏と那智丸は撃ち倒した大熊を残したまま、悪夢のようなその場を逃れ、下山したのであった。 老人が大熊を仕留めたことは、すぐに村中に知れ渡った。だが、大熊が怪獣の正体だとは、誰も信じなかった。なぜなら、後日大熊の死骸を引き上げようと現場へ行ったものの、山のような巨体は何物かによってずたずたに引き裂かれ、そこにはわずかな毛皮が残されていたのみであったからだ。しかし、その後怪獣を見たという者は二度と現れず、怪獣騒ぎは一応の決着がつき、人々の記憶から忘れられていった。そして、神坂氏はこの事件を最期に、二度と銃を手にすることなく、猟師生活にピリオドをうったのであったとさ。 この体験談は、結局怪獣の正体が何なのかは解明されないまま終わる。僕はこのなんとも言えない余韻とヤマヒルの不気味さで、この話が妙に頭から離れないんだ。ヤマヒル・・。キャンプなどを趣味にする皆さんに忠告しておこう。そいつは確かにいる。特に湿気の多い地方は気をつけたほうがいい・・、え?それでも行くって?あなたも「命知らず」の仲間入りですね。ここに僕たちはもうひとつ尊敬する人々を付け加えなければならないだろう。それは「アウトドア派」です。 |
米国ボストンはハーバード大学に保存されている人魚のミイラ。体長約50センチ。童話の人魚は美女だったけど、ミイラとなるとこんなんばっかしでやんなっちゃいますねえ。 | 大分県宇佐市一鬼取十宝山大乗院に安置されている鬼のミイラ。座り込んだその高さは1.4メートル。立ったらデカいぞ。 | 愛知県犬山市の桃太郎神社に保管されている鬼の子供のミイラの写真。実物は鹿児島県羅漢寺にあったらしいが、昭和13年焼失。 |
米国のエドガー・ケイシー(1877〜1945)という霊能者をご存知だろうか。彼は眠れる予言者とも呼ばれ、催眠状態の中で、古代のエジプトや失われたアトランティス文明、世界の破局、キリストの再臨などについて言及し、僕たちを楽しませてくれた。その予言の中のひとつに次のようなものがある。「西暦1998年までに、アメリカ東海岸の沖に失われた大陸が浮上するだろう・・」。アトランティス大陸の再浮上ともいわれたこの予言には、しかしかなりの無理があった。だって大西洋に大陸が現れるというのはいくらなんでも無茶でしょ。しかし時は無情に流れ、1998年は確実に迫りつつあった。そこで僕はこれまで誰も思いつかなかった新解釈を思いついたのである。そうだ、失われた大陸というのは”倒産した大陸書房”のことに違いない!そして1998年までに、この出版社は再建され、再び世にオカルトブームを巻き起こす。ケイシーは、ズバリこのことを予言していたのだぁ!(大丈夫か、オレ) 結構気に入ってたこのネタであったが、世紀末が過ぎた今となってはもう使えないのがちょっと惜しい。そして今のところ大陸書房の再建の話は・・ない。 |
東京のとある個人の家に保管されていた天狗の写真。実物は大戦中に焼失。 | 日本の獣人ヒバゴン。広島県庄原市にて三谷美登氏撮影(1974/8) | 広島県福山市山野町のこちらはヤマゴン。1980年以降に目撃が多発。 | 岩手県山形村のガタゴン。1992年岩手日報より。こいつはちょっと一発屋で終わりそう。 |
(2001/5)