怪獣の部屋

30.特撮ビューティーズ編2

X星ではどんなにモテない男でも彼女と結婚できます。だってみんな同じ顔だからね。でもこれっていい事でしょうか?

「ところで○○さんはどんな女の人が好みなの?」

「X星人」

「ええ〜、セックス星人〜!?」

「あ、いやあのエックスね、X、Y、Zの・・」

「いやあ〜ん、ねえ、みんな聞いて聞いてぇ。○○さんたらさぁ、セックス星人なんだってぇ!」

「いや、そうじゃなくて、ゴジラの・・」

「きゃあああ、○○さんえっちぃ!!!」「ゴジラ並ぃ!」「ケダモノ〜」

「・・・・・・・・・。でもみんなケダモノ結構好きでしょう。どう?今晩俺とケダモノになる?」

「いやああああああ」 「ねえ、ねえ、ケダモノってどうゆうことすんのお?」

「あ、知らないの?毛皮のビキニ着て、こん棒持って、男が女の髪の毛引っ張って、引きずってくの」

「それってただの原始人じゃない」「うひゃひゃひゃひゃ」きゃあきゃあ、わいわい・・  ああ、また不毛な夜が過ぎてゆく。いやあ世の中ってこんなもんですかねえ。

結構隠れファンがいるとみたり小林夕岐子。「決戦!南海の大怪獣」ではドキッとさせてくれました。

仮面のまなざし-小林夕岐子。左から「ゲゾラ・ガニメ・カメーバ 決戦!南海の大怪獣」(’70)「怪獣総進撃」(’68)「幽霊屋敷の恐怖 血を吸う人形」(’70) 「透明人間」(’54)より三条美紀。まさにゴシックホラーの構図です。good!
 怪獣はどうした!というご批判もあろうかと思いますが、個人的にはとても気に入ってるこの特集、特撮ビューティーズ第2弾。いやいや、気になる女優は、まだまだいますぜい。

 ”クール・ビューティー”と聞いて誰もが思い浮かべるのは、やはりハリウッドのシンデレラ、故モナコ王妃グレース・ケリーでしょう。これは、一般的なお話。でも僕らがクール・ビューティーと呼ぶのはこの人だけ。そう、仮面のまなざし、血を吸う人形、小林夕岐子なのです。彼女は東宝俳優養成所の6期生として入所後、加山雄三の相手役としてデビュー。その端正な顔立ちと見事なプロポーションで一躍注目を集めることとなります。でもその整い過ぎた美貌が、逆に彼女に災いしたのでしょうか・・。

 デビュー後、しばらくは青春映画のヒロインを演じていたものの、その後の彼女の活躍は、「ウルトラセブン」第1話のアンドロイド、「怪獣総進撃」ではキラアク星人に操られるヒロイン、極めつけは「血を吸う人形」の殺人鬼!と、次第に僕らの範疇へと、活動の場を変えていきます。でも、なんとなく解かる気がしますよねえ。彼女の顔を見たら誰でも思うはずです。ただのヒロインじゃつまんねえ、アンドロイド、いや幽霊だぁ!ってね。僕が一番気にかかるのは、彼女がそれを楽しんでたか、それともいやいややってたのか、ってことです。でもそれを彼女の表情から読み取ることは不可能なのです。なぜなら生き人形のような無機質なまなざし・・それが彼女の最大の魅力なのですから。

日本人離れした曲線美と笑顔に圧倒されます。「怪獣島の決戦 ゴジラの息子」(’67)より前田美波里。真木蔵人のお母さんですぞ。 彼女を一躍有名にしたのがこれ!資生堂BEAUTY CAKEのポスター。資生堂が最もとんがってたころでした。しかし今見ても全く古さを感じさせませんねえ。 「マグマ大使」(’66)よりイーデス・ハンソン。パツキンゲージンが出ると、なんとなくゴージャスな気分になったものです。どーですハンソン。
 X星のクラブにて(そんなのあるのか一体・・)

「あらいらっしゃい。珍しいわねえ。ご無沙汰だったじゃない」

「いやあ。ここんとこ仕事が忙しくってねえ。統制官がまたうるせーんだこれが。ビールね。」

「みきちゃん、こっち。この子新人なの。よろしくね。こちら○○さん」「はじめましてぇ、みきですう」

「ああ、よろしく・・ったってみんな同じ顔だからなあ。たまには違う顔の子いないのかねえ」

「そりゃ○○ちゃん、無理ってもんよ」「まあ仕方ねえか。でも女房と同じ顔ってのがどうも落ち着かねえよなあ」「あら、じゃあなんで来るのよ?」

「そりゃ、うちのだってさあ、新婚の頃はさあ、お酌してくれてさあ、けっこうやさしかったんだよ。それが今じゃさあ・・・・。まあここに来ると新婚当時を思い出すっていうのかなんて言うか・・」

「ま、ごちそうさま」

「キングコングの逆襲」(’67)のスーザン(リンダ・ミラー)いよっお二人さん!(オヤジか俺は) もう何も言うまい。天本英世!と浜美枝。ドクター・フー&マダム・ピラニア!!!最高です。 若林映子と並んで和製ボンドガール1号となった彼女。お人形さんのようですねえ。 「マグマ大使」でモルを演じた応蘭芳。2年後にそれは起こった。
 「マグマ大使」の放映が開始されたのは、筆者が生まれた昭和41年(1966)7月のことだった。国産初のカラー特撮番組ということで、初回視聴率30%の好スタートを切ったこの番組、僕は当然再放送で観たのだが、あの”カシーン、カシーン”という心地良い響きは今でもはっきりと耳に残っている。6日遅れでスタートした「ウルトラマン」とともに一大怪獣ブームを築き上げていくこの「マグマ大使」には、しかし、後に世の男性を総立ちにさせる、ある女優が出演していた。マグマ大使の女房”モル”を演じた応蘭芳である。昭和43年、雑誌「女性自身」(この雑誌名もかなりキてます)のなかのインタビューで、彼女は凄いことを言っちまった。「私、あのときはいつも失神するの」

 昭和43年といえば、日活がロマンポルノを作り始める3年前、和製ストリーキング第1号が銀座の歩行者天国を駆け抜けるはるか6年も前、世間では、あからさまにセックスを語るのは、まだタブーとされていた時代のことである。ましてや現役の女優が・・。世間の衝撃がいかに凄いものだったかがお分かりいただけるでしょう。その後彼女は、「あるセックスドクターの記録」(’68大映)に出演、続けて「渚のエクスタシー」「痛い痛い痛いのよ」(!)なんてぇのでレコードデビューまで果たし、「失神ソングを歌う失神女優」として世のお父さんたちの隠れアイドルの地位を確立することになるのである。これを確かめたければ、ひとつ簡単な実験をお勧めしよう。お父さんの耳元で、そっと「おう・らん・ふぁん・・」と囁いてみるんだ。きっと現れます。体の一部にある変化が・・。

「ウルトラマン80」で城野エミを演じた石田えり。おおなんと素晴らしい・・。 郷の恋人アキさん。少女モデルとして活躍していたころの榊原るみ。Cute! 和製モンローとは言い過ぎか。(言い過ぎ)「地震列島」(’80)より多岐川裕美。 ご存知ハヤタの娘吉本多香美。僕は必要になった時、アートネイチャーを選びます。 「ゴジラVSキングギドラ」(’91)の中川安奈。僕はこう言いたい「血は争えない」と。
 中川安奈という女優さんをご存知でしょうか。映画「敦煌」(1988)でデビューののち、映画、TV、CM、舞台などで幅広く活躍中の方ですが、ここに来られる皆さんには、「ゴジラVSキングギドラ」の”未来人エミー”と言えば、「ああ」とお分かりいただけるでしょう。ゴジラの中では見事な脚線美を披露して、ちょいとドキッとさせてくれました。しかし僕には色気以上に気になったことがあったのです。この映画のなかの彼女は、ゴジラとの戦いを、メカキングギドラの操縦を、水を得た魚のように活き活きと演じてはいなかったでしょうか。そう、なぜなら彼女の中にはそうさせる”血”が流れていたのです。

 中川安奈の父方の祖父は画家の中川一政。そしてその息子、つまり彼女の父は、ウルトラQで「カネゴンの繭」などを監督した中川晴之助。また、母方の祖父は「宇宙大戦争」や「大怪獣バラン」の科学者を演じた俳優の千田是也。さらに千田是也の甥にあたるのがこれまた「モスラ」の中の悪役興行師ネルソンを演じたジェリー伊藤。どうですか。いやあ、あるんですよ、怪獣の家系というのがね。彼女の結婚相手は人気演出家の栗山民也。この方は怪獣とは縁のない芸術家肌なので、今後彼女が怪獣系に戻ることは無いかもしれません。でも僕はちょっと楽しみにしてるんですよ。二人のお子様あたりを・・。

 あなたの家系には何の血が流れていらっしゃいますか。先日、爺ちゃんの家の本棚をいじってたら、「ムーブックス/人類は核戦争で一度滅んだ」とか「ネス湖の怪獣」、はたまた超能力がどうしたこうしたなんて本が結構あって、笑っちまいました(読んだけど)。僕の家系は・・、なんと言いますかその、超常現象系とでも言いますか・・。いやはや。はい。(誰だ、脳天気系なんて言ってるのは)

(2001/2)