怪獣の部屋
22.東宝編1
1954/11 |
1955/4 |
1955/8 |
怪獣の神様 円谷英二 |
1950年のベネチア映画祭で、ある日本映画がグランプリを受賞し、世界があっと驚いた。その映画とは黒澤明の「羅生門」(大映)である。これで日本の映画界は世界から一目置かれることになるんだが、海外でビッグセールスを上げるまでにはいたらなかった。しかしその数年後、こんどは何も受賞しなかったある映画がその名を世界にとどろかせることになる。そう。和製怪獣映画第一号「ゴジラ」だ。 東宝は「ゴジラ」の世界的ヒットにより、幻想特撮映画という路線を生みだし、日本だけでなく海外にも多くのファンを獲得することに成功した。今ではもう考えられないことだが、50年代から70年代前半には、東宝は、これらの特撮映画を全世界に輸出し、外貨獲得に貢献していたんだ。映画が輸出産業だった時代があったなんてね。 東宝特撮映画の海外輸出に活躍した”東宝国際部”は、最盛期には世界の主要11都市に支局をもち、そのセールスに力を注いでいた。アメリカではコロムビア社と配給契約を結び、多くの特撮映画を全米配給(!)している。1961年公開の「モスラ」にいたっては、西半球をコロムビア社の、東半球を東宝の配給権とする契約を結び、なんと全世界同時公開までしているんだ。なんともスケールのでかい話だね。でも東宝の、いや日本映画の黄金時代ってのが、このときたしかにあったんだ。 |
1956/5 |
1956/7 |
1956/12 |
1957/12 |
ここに並べたポスターは、50年代の東宝幻想特撮映画の数々だ。”雪男”、”ラドン”、”バラン”などの、第二のゴジラを狙った路線、宇宙人との攻防に胸踊る”地球防衛軍”、”宇宙大戦争”のSF路線に、本多猪四郎&円谷英二コンビの本領は遺憾なく発揮されている。60年代には、これらがさらに豪華に開花することになるのだが、続きはパート2でお話しましょう。 映画文化の中の日本独自のものとして、ポスターやチラシのすばらしさが挙げられます。海外のイラスト中心のポスターなんかも味があって決して悪くはないんだけど、日本のポスターはやっぱりすごいよ。とくにこういった特撮系のやつは見てるだけでワクワクしてきます。中でも東宝の幻想特撮系ポスターは、海外でも人気が高く、熱狂的コレクターも多いと聞きます。アメリカ人になったつもりでもう一回眺めてみてください。ね。やっぱり凄いでしょ。 |
1958/10 |
1959/4 |
1959/11 |
1959/12 |
倒産寸前の危機にあった米映画会社”RKOラジオ・ピクチャーズ”を救ったのは、巨猿”キングコング”だった。そして東宝を世界にはばたかせたのは、核実験によって太古の眠りから目覚めた怪獣”ゴジラ”だったんだ。日本映画が世界に誇るもの・・それは”クロサワ”と”ゴジラ”なのです。 |
(2000/7)