怪獣の部屋

2.レイ・ハリーハウゼン編

七頭の巨竜ヒドラ

「アルゴ探検隊の大冒険」

リドサウルス

「原子怪獣現わる」

骸骨の剣士たち

「アルゴ探検隊の大冒険」

 もう30年くらい前でしょうか。NHKの9時頃の「番組のお知らせ」だか「天気予報」だかのバックに、「赤頭巾ちゃん」とか「ヘンゼルとグレーテル」とかの人形アニメーションの映像が流れていたのを覚えてる方がいらっしゃるかもしれません。あれを作ったのがレイ・ハリーハウゼンです。

カリボス「タイタンの戦い」

「ヘンゼルとグレーテル」

女神カーリー 「シンドバッド黄金の航海」

 ハリーハウゼンの造った怪物たちはモデルアニメーション(ダイナメーションとも)という手法で撮影され、命を吹き込まれている。これはCGが主流になる前の特撮の最もポピュラーな手法だったが、「ジュラシックパーク」によって完全に息の根を止められた。つまり彼の後継者はもう出てこないということ。ゴジラやガメラが21世紀も暴れそうなのに、こちらはちょっと寂しいね。

 確かにCGとモデルアニメーションを比べて、スピルバーグがCGを選んだのは間違えではない。しかし、だからといってハリーハウゼンの作品が劣っているというわけでも、決して無い。

 「アルゴ探検隊の大冒険」に出てくる巨像タロスや「シンドバッド虎の目大冒険」のミナトンはモデルアニメーションによる計算外のぎこちなさによって、いっそう恐怖感が増しているし、「恐竜100万年」や「恐竜グワンジ」に出てくる恐竜たちは、完全に生物だ。骸骨や6本腕の女神カーリーとのチャンバラなんか、もう芸術の領域です。そういえば「トゥームレイダー3」ってゲームで、”女神カーリーもどき”が出てきて嬉しくなったけど、元ネタはこれだぞ。

「シンバッド7回目の航海」

サイクロップスとドラゴン「シンバッド7回目の航海」

マスター・オブ・モンスター

 「シンドバッド虎の目大冒険」で、魔法でヒヒに変えられた王子ってのが出てくる。なんとそのヒヒはモデルアニメーションで撮られている。僕は記憶のなかではヒヒは本物だったとばっかり思っていたが、テレビ放映で見なおすとそういうことだった。本物のヒヒじゃいかんのかい!とつっこみを入れたくなるところだが、ハリーハウゼンだからゆるそう。彼の声が聞こえてくるでしょ「真似できるもんならやってみろ」ってね。 

 1985年、レイ・ハリーハウゼンは引退を宣言し、第一線から退いた。ジム・ダンフォースをはじめとする多くの次世代イフェクツマン達が彼を目指した。しかし未だに”マスター・オブ・モンスター”の称号を彼から奪い取った者はいない。

ティラノサウルス「恐竜グワンジ」

巨像タロス 「アルゴ探検隊の大冒険」

(1999/12)