怪獣の部屋

13.続・恐竜編

新説によるブラキオサウルス像

ジュラシックパークより感動の風景

通をうならせたベロキラプトル

 映画「ジュラシックパーク」の中で主人公たちを恐怖のどん底に叩き込むベロキラプトルという恐竜が出てくる。ベロキラプトル。この映画でこの名前を知ったという人がほとんどであろうこの恐竜。こいつらの活躍こそがこの原作の面白さであり、映画のヒットの最大の要因でもある。

 ”ステゴザウルスの脳はピーナッツくらいの大きさだった・・”。これに端を発する恐竜イコール愚鈍というイメージは、過去の恐竜映画のスタンダードを見ても明らかなように、長らく定説となっていた。所詮恐竜とはでっかいトカゲに過ぎなかったんだ。ところがこの常識を覆したのが60年代に次々と発見されたディーノニクス類達である。

 彼らは骨化した腱で支えられた後方にまっすぐ伸びた長い尾を持ち、ものをつかむのに適した3本指の大きな手、そして非常に発達した足の鉤爪を持っていた。その体の構造は、これまで地球上に存在した全肉食動物のなかで最も洗練された捕食者のそれである。そして最も重要なのは、こいつらが集団で狩りをしたらしいということである。

 集団行動をとるということは、リーダーの存在や個体間のコミュニケーションなど、よほどの高い知能がないと成し得ない芸当である。はたしてトカゲごときにそれができたか?。しかしNOというには彼らの脳は(しゃれじゃないよ)あまりにもでかかった。そしてこのような敏捷な捕食者が冷血動物であるはずがないと、恐竜温血派の研究家達を活気付けたのがこのディーノニクス類達なのである。ベロキラプトルはこのディーノニクス類のちょいと小型のやつなんです。

W・オブライエン初の長編映画”ロストワールド”(’25)

’33年版”キングコング”のもうひとつの主役は恐竜達だ

 これらの学説が全部正しいかどうかは知らないけど、原作者マイケル・クライトンはこれをそっくりそのままお話に盛り込んじゃった。そして結果は・・めちゃくちゃおもしろかった、というわけです。

 ”ジュラシックパーク”は恐竜映画の”2001年宇宙の旅”である。これのおかげでこれ以前の恐竜達はクラシックになっちまった。ちょうど”2001年・・”のあと、それ以前のSF映画がクラシックになってしまったようにね。でも恐竜の場合はちと話が違う。今日の勝者が明日も勝つとは限らないのがこの世界。というのも、ディーノニクス類など、一部の恐竜の体はなんと羽毛で覆われていた!という説があるのだ。何十年後かに”ジュラシックパーク”のベロキラプトルが大笑いされる日がくるかもしれないよ。

ケラトサウルス対トリケラトプス

レイ・ハリーハウゼン渾身の1作”恐竜100万年”

ティラノサウルス対スティラコサウルス

左同様ハウゼン黄金のパターン(恐竜グワンジ)

 クラシックの恐竜達だって、当時はみんなひっくり返ったんだよ。世界で初めて恐竜に命を吹き込んだ男W・オブライエン。彼の1925年の作品”ロストワールド”は、当時の人達にはまさに脅威の映像だったはずだ。なんせ化石と絵でしか見られなかった恐竜たちがスクリーンで暴れまわってるんだからね。この映画のヒットなくして”キングコング”は生まれなかった。そしてそのコングの最大の魅力のひとつは、彼が恐竜達と死闘を繰り広げ、島の王者として君臨してるとこにあるんだ。ところで話変わるけどあのリメイクはなんだありゃ。恐竜が全然出てこない上に、機械仕掛けの等身大コングが出てるって聞いたけどありゃハリボテもいいとこだぞ。ジャロに電話するぞこらっ。

 W・オブライエンの後継者レイ・ハリーハウゼンやジム・ダンフォースの更に洗練された恐竜達については、もう説明の必要はないでしょう。”恐竜100万年”や”恐竜時代”は長らく恐竜映画のスタンダードとして、僕らの脳裏に焼きついていた。そう。恐竜はああ言う風に動くんだってね。

アーケロンとはこれまた渋い選択 (恐竜100万年)

プテラノドン最高! (恐竜100万年)

 遠い過去に存在し、今はもう絶滅してしまった巨大な生物たち。これ以上のロマンがはたしてあるでしょうか。さあ遺伝子工学と考古学と地質学とあといろんな学者さんたち、みんなで造りましょう。ジュラシックパークを!ただし、案内嬢は原始人ルックのパツキングラマーでお願いね。
英ハマープロがレイ・ハリーハウゼンと共に放った恐竜映画のスタンダード「恐竜100万年」 ”恐竜100万年”に続くハウゼンのストップモーション恐竜達。原案は師匠、故W・オブライエンの「グワンジの谷」 ジム・ダンフォースの名をとどろかせたハマープロの原始時代第2弾!コマ撮りと巨乳好き(俺のことかぁ)必見!
ハウゼンと師匠オブライエンの豪華顔合わせによるモデルアニメーションの恐竜達が登場(ちょっとだけね) トカゲの背中に作り物のヒレをくっつけたディメトロドン(たぶん)が登場。でもその特撮はなかなかグッド。 コナン・ドイル原作「ロストワールド」の何度めかのリメイク。これもたしかトカゲ特撮だったと思う。

(2000/4)