怪獣の部屋

10.ガメラ編

第1作目「大怪獣ガメラ」

なんかすごいぞレギオン 大丈夫かガメラ

こらこらバイラス子供をいじめちゃいかん

 ハリウッド製正統派西部劇がすこし下火になったころ、イタリアでちょっと残酷趣味の入ったウェスタンが大量に作られ始めた。日本ではマカロニ・ウェスタンと呼ばれ、正統派評論家にバカにされながらも一部のファンには未だに絶大な人気を誇っている。ハリウッドでもこのブームをうけて、本家の本領発揮とばかりまたウェスタンを作り始めたものの、ジョン・フォードの後継者は結局現れなかった。一方セルジオ・レオーネは、ハリウッドに乗り込み”ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ”なんて作ったりしている。さてもう何が言いたいかお分かりでしょう。怪獣特撮映画においては東宝がハリウッドで、大映がイタリアです。 

 東宝の怪獣特撮映画を、豪華エンターテイメント路線と呼ぶなら、大映のそれはウェスタン風対決路線とでも呼びましょうか。マカロニ・ウェスタンの基本パターンは、主人公が復讐、あるいは弱者の救済のため、悪の一味と対決。一度ないし二度ほど敗れ、流血あるいは拷問などでぼろぼろになりながらも最後は辛くも勝利をおさめる、というものです。どうです?まんまガメラでしょ。

昭和ガメラ全8本

1965年11月公開

1966年4月公開

1967年3月公開

1968年3月公開

1969年3月公開

1970年3月公開

1971年7月公開

1980年3月公開

「社長っ、東宝がゴジラで高配収を上げております!」

「うーん。このまま手をこまねいて見ているわけにもいかんのう。よし、うちも怪獣でいくか。」

「さすが社長。決断がお早い。ではさっそくキャスティングですがこれはやはり向こうが浜美枝と若林映子なんてボンドガールでくる以上こちらとしましても勝新太郎と京マチコ、市川雷蔵なんかもいれて、あとはザ・ピーナッツの対抗でこまどり姉妹という超豪華ライン・・」

「バカもん!たかが怪獣映画にそんな予算がかけられるか。崑ちゃんでも出しとけっ。」

「はあ。崑ちゃんですか。」

「そんなことよりも大事なのは怪獣じゃ。インパクトのある怪獣で世間をあっと言わせるんじゃよ。今、巷で子供たちを騒がせているものはなにかね。」

「子供たちですか?そうですねえ。野球は巨人、長島でしょ。戦記ブームで戦艦に零戦。あと宇宙人に空飛ぶ円盤、それから・・」

「おいっ、いまなんと言った?」

「えっ。いや、だからその空飛ぶ円盤・・」

「空飛ぶ円盤、それじゃっ。円盤怪獣。これでいこう!」

「ちょ、ちょっと社長、円盤と怪獣じゃこれまたどうも・・」

「バカもん!ゴジラに勝つにはインパクトしかないっ。いいからこれでいきなさい。円盤怪獣だからカメじゃな。ひひひ。カメ、カメ・・よし、名前はガメラじゃ。どうじゃ。いいじゃろう。うけけけけ。ガメラは子供の味方じゃ。そして悪の怪獣どもをやっつける!口からは百万度の炎を吐き、なんと生まれは古代アトランティス。ウキーッ。そして・・」

「しゃ、社長・・」

 というわけでガメラは誕生しました。(うそうそ)

 平成ガメラの復活は見事でした。忘れかけてた僕の怪獣魂にもう一度火を付けてくれた憎いやつ。ゴジラで何度も期待を裏切られ、やっぱり俺も歳とったんだなあと淋しい気持ちになりかけてたときだったからなおさら良かったね。僕は2作目、3作目よりも1作目大怪獣空中決戦が好きですが、皆さんはいかがでしょうか。

旧ギャオス イカす合成シーン

あいたたたたたた

あの強かったギャオスが・・・

 僕の好きなウェスタンに”ヴェラクルス”というのがあります。ゲーリー・クーパーとバート・ランカスター2大スターが火花を散らす痛快作です。”ガメラ 大怪獣空中決戦”のラストを観た時、僕はこの”ヴェラクルス”ラストの対決シーンを思い出したね。さあいよいよ抜くのか、おいおいどっちが勝つんだよいったいってな具合でかなり燃えます。

 うん。やっぱしガメラはウェスタンだ。

大魔獣ジャイガーと一騎打ち

いい顔です

1984年のシリーズ全作リバイバル時

(2000/2)